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SNS時代のクレーム対応の考え方

SNSのクレーム

SNSで広がるクレームの特徴

SNS上のクレームは従来の電話やメールによる苦情と異なり、公開された場で誰でも閲覧できる点に特徴があります。匿名性の高さから感情的な投稿も多く、写真や動画が添付されることで説得力が増す場合もあります。さらに、短時間で多くの人に拡散されるため、企業にとっては予想以上のスピードで評判が揺らぐリスクがあるのです。

たとえば飲食店の料理に不備があったと投稿されると、数時間のうちに数万件の閲覧に達し、テレビやニュースに取り上げられることも珍しくありません。情報が一度広まると完全に削除するのは難しく、対応を誤れば「隠蔽」と受け止められかねません。

だからこそSNSクレームは発生そのものを防ぐことよりも、発生した後にどう対応するかが重要です。

遅れが招くリスクと失敗事例

SNSでのクレーム対応において最大のリスクは初動の遅れです。

問題が投稿されてから数日放置されれば、顧客の怒りがさらに拡散され、事実以上に悪影響が膨らんでしまいます。実際に食品メーカーでは異物混入の投稿に対する対応が遅れ、回収対応まで発展したケースがありました。

また、形式的な謝罪文を出しただけで詳細説明がなかったため「誠意が感じられない」と批判が強まった事例もあります。反対に、速やかに事実を確認し、誤解であれば根拠を示して説明した企業は評価を回復したケースもあるのです。

リスクを最小化するには、発信内容を常にモニタリングする体制が欠かせません。

拡散状況や投稿者の影響力を踏まえたうえで「謝罪するのか」「説明に徹するのか」「対応不要と判断するのか」を早急に決めることが重要です。

さらに、社内で共有できる報告ラインを確立し、経営層への迅速なエスカレーションができる仕組みを備えておくと、現場担当者の負担を減らし、判断の遅れを防げます。

信頼を守るための対応の考え方

炎上を避けるためには、クレームに対して誠実で一貫した姿勢を示すことが求められます。まずは事実を確認し、顧客が感じた不満に共感を示す表現を用いることが基本です。

そのうえで、対応内容を公開するか、個別に連絡を取るかを判断します。公開の場で説明する場合は、曖昧な言葉を避け、責任の所在を明確にすることが信頼につながります。

内部的には、対応フローや判断基準をマニュアル化しておくことが欠かせません。誰が最終判断を下すのか、公式SNSで返信する場合の文面確認は誰が行うのかといったルールをあらかじめ整備しておくと、緊急時に迷いなく動けます。

さらに、従業員が過度な負担を抱えないよう、チームで対応できる体制を築くことも大切です。

SNS時代のクレーム対応は危機対応にとどまらず、顧客との信頼関係を築き直す場面でもあります。誠実な対応を続けることで、短期的には批判を受けても中長期的には企業の姿勢が評価され、ブランド価値の維持につながるでしょう。

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