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医療機器業界

臨床開発とは

臨床開発の重要性

我々一般人が安心して、安全に医薬品を利用できるのは、医師のおかげだけでなく、製薬会社の尽力があるからです。
医薬品を作るのには膨大な費用と時間がかかります。
制作の過程ではいくつもの開発や試験が繰り返され、最終的に効果があり安全な物だけが厚生労働省の承認を得ることができ、世間に広まっていくのです。

製薬会社が行っている臨床開発とは、成分の研究や人体への影響の有無を確かめるまでのことを指しています。
どの成分がどのような効果をもたらす可能性があるか、その調査から始まり、新薬の作成、動物実験を経て、実際に人体に影響があるかどうかを調べるために治験が行われます。
臨床開発はいわば製薬会社の花型とも言える仕事なのです。

新薬を開発するために要する時間は10年から20年程度と言われており、長い年月をかけながら我々に届けられます。
その間、臨床開発の仕事をしている方々は、毎日のように実験や試験を取り行い、データを収集しなければなりません。
そのため、時間だけでなく膨大な費用も発生してしまうのです。
臨床開発の仕事は、不可能を可能にする素晴らしい仕事であり、大きな志を持った方々が大勢従事しています。

臨床開発の流れ

新薬の開発には「基礎研究」「非臨床試験」「治験」という流れがあり、これらを総称して臨床開発と呼ばれています。

基礎研究とは、対象の疾患を治療する成分を探すことです。
まずは、疾患が起きてしまう原因や、疾患に作用する成分を究明することから始まります。
目的の成分は1つとは限らず、何百、何千もの種類が挙げられる可能性もあり、そこから最も有効で安全性の高い物を探していくのです。

非臨床試験とは、ラットや犬、猿などを使って、実際に薬品を投与することです。
ここで薬の効果が試さる他、問題が発生しなかったかなど、厳密なデータを取ります。
もしもこの段階で問題が発生した場合には、安全性と効果が確認されるまで実験を何度も繰り返さなければなりません。

そして、最後に行うのが治験です。
治験とは、人に新しくできた薬を投与してデータを取る試験のことを言います。
この治験という過程には第Ⅰ相から第Ⅲ相までで段階が分かれており、新薬として国の許可を得るためには、これらの試験を全て合格する必要があるのです。

まず第Ⅰ相では、健康な人に投与し、安全性が試されます。
続いて第Ⅱ相では、実際の患者さん数人に投与してみて、その効果と安全性を。
そして第Ⅲ相では大人数の患者さんを対象として、効果の確認や最終的なチェックを行います。

これらの過程を経てできた新薬は、そのデータを厚生労働省にて確認してもらい、やっとのことで世間に販売されていきます。
二重、三重の安全性チェックや効用の確認をすることで、薬の安全性は保たれています。
これまで治療不可能だった病気も、このような臨床開発という地道な努力が、治療可能にしていくのです。